クロスラミネート・ティンバー(CLT)は、木材の板を垂直に重ね、高圧で接着したものである。この木材層の向きを交互に変えることで、材料の安定性と構造耐力が向上する。これにより、鉄筋コンクリートのような2方向の構造剛性が得られる。(出典:ティンバー・タイポロジー)
建築におけるCLTの使用は、創造的な機会であると同時に、建設業界が気候変動に与える影響を大幅に軽減する機会でもある。CLTパネルは、外部でも内部でも、構造全体に使用することができる。
スプルース、マツ、モミ、カラマツなどの樹種を使った高品質のCLTで建てられた建物は、魅力的であることが多い。
以下の住宅はCLTで建てられており、この建材の魅力を紹介している。
モーク・ウルネス・アーキテクツが設計したアメリカ・オレゴン州のオクトソープ・ハウスは、建築家によって「アメリカで生産されたクロスラミネート・ティンバーを使った最初の建物のひとつ」と評されている。この家の外壁のスギバンの焼けたような木材のクラッディングは、生木の内装仕上げと美しいコントラストをなしている。
2. Spruce House
スプルース・ハウスは、ロンドンを拠点とする建築事務所ao-ftによって設計された。このデザインは、ao-ftの持続可能な建築への関心を体現している。この住宅のプレハブCLTパネルは、わずか5日間で現場で組み立てられた。
アンノウン・アーキテクツは、オランダ北部の島、テルシェリングに休暇の隠れ家として「砂丘の家」を設計した。家の1階と屋根にはCLTが使用されている。
4. Franklin
フランクリンは、オーストラリアのメルボルンに近い海辺の町、ポートシーにある家族向けの住宅。Ola Studioが設計したこの夏らしい住宅は、オーストラリア産のパイン材を使ったCLTの構造と屋根で構成されている。一枚の「スキリオン屋根」(一番上の画像)が家のシンプルな長方形のフォルムを覆い、北向きに大きな切り欠きがある。
5. Villa Vught
CLTを使って建てられたヴィラ・ヴォートは、オランダ南部の同名の町にある。中庭を囲むように農家の建物や住居が配置されている。
6. CLT House
FMDアーキテクツが設計したビクトリア州のモーニントン半島にあるCLTハウスは、建築のノウハウと持続可能な工法の架け橋となっている。この住宅には、本棚、机、ピボットドア、バーユニットなど、CLTを使用した多くのインテリア要素が取り入れられている。
スイスのネンダッツにあるこの「小さな家」は、建築家ライオネル・バルマーによって設計された。この木造住宅の内部間仕切り、外周壁、スラブ、屋根、家具は、地元産のスプルース材で作られたCLTを使って建てられた。
オスロ北部の住宅街に位置するこの2棟のヴィラは、オスロトーレによって設計された。無処理のCLTで建てられたこのヴィラは、温かみのある有機的な外観で、年月を重ねるごとに成熟していく。
9. Buitenhuis
オランダのハイネノルトにある小さなパビリオンのような木造住宅。VLOT architectenが設計したBuitenhuisは、カラマツ集成材とCLTを組み合わせた構造になっている。3枚のCLT壁が柱と梁の構造に安定性を与えている。この建物は完全に解体できるように設計されている。
10. Haus Gables
ジェニファー・ボナー/MALLの設計によるアメリカ・ジョージア州のハウス・ゲーブルズは、6つの切妻屋根が組み合わさってひとつの屋根を形成している。家の外壁、内壁、床、屋根はCLTパネルでできている。ハウ・ゲイブルズの外壁に施された「フェイク・フィニッシュ」のクラッディングは、「アメリカ南部の古い伝統的なフェイク・フィニッシュを再構築したものです」とボナーは言う。
参考までに:
ワウ・ティストルトン・アーキテクツ(2023)。Timber Typologies. ロンドン: Timber Development UK.